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【超音波検査士】循環器の弁膜症対策|試験で押さえておきたいポイントを整理

【超音波検査士】循環器の弁膜症対策|試験で押さえておきたいポイントを整理

超音波検査士の循環器領域を勉強していると、避けて通れないのが弁膜症です。

AS、AR、MS、MR、TR……と略語だけでもたくさんあり、さらに重症度評価や計算方法まで出てくるので、「結局どこまで覚えればいいの?」となりやすい分野だと思います。

私自身も超音波検査士の循環器領域を受験しましたが、弁膜症は疾患名や基準値だけを暗記するより、「どの弁に何が起きているのか」「その結果、血流や心腔がどう変化するのか」までつなげて覚えることが大切です。

この記事では、日本超音波医学会の「超音波検査士研修ガイドライン(第3版)」をもとに、超音波検査士試験の循環器領域で弁膜症を勉強するときに押さえておきたいポイントを整理します。

すべての弁膜症を同じ深さで覚えるのではなく、まずはAS・AR・MS・MRを中心に見ていきましょう。

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超音波検査士試験では、弁膜症をどう勉強する?

心臓には、大動脈弁・僧帽弁・三尖弁・肺動脈弁の4つの弁があります。

それぞれに狭窄や逆流が起こる可能性があるため、すべてを並べるとかなりの数になります。

  • 大動脈弁狭窄症(AS)
  • 大動脈弁閉鎖不全症(AR)
  • 僧帽弁狭窄症(MS)
  • 僧帽弁閉鎖不全症(MR)
  • 三尖弁狭窄症(TS)
  • 三尖弁閉鎖不全症(TR)
  • 肺動脈弁狭窄症(PS)
  • 肺動脈弁閉鎖不全症(PR)

こうして並べると大変そうですが、最初から全部を同じ深さで覚える必要はありません。

まずはAS・AR・MS・MRを中心に、病態・心エコー所見・重症度評価をセットで整理するのがおすすめです。

TRについては右心負荷や肺高血圧を理解するときにも重要になるため、別の記事で詳しく扱う予定です。また、PSは先天性心疾患として押さえておきたい病態なので、こちらも先天性心疾患の記事で詳しくまとめます。

弁膜症の勉強で意識してほしいのは、単に「AS=大動脈弁が狭くなる」と覚えて終わらないこと。

弁の形態 → 血流の変化 → 重症度評価 → 心腔への影響

という流れで考えられるようになると、画像問題や計算問題にも対応しやすくなります。

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大動脈弁狭窄症(AS)は優先して押さえたい

ASは、弁膜症の中でもしっかり勉強しておきたい疾患です。

日本超音波医学会の超音波検査士研修ガイドラインでは、ASについて「圧較差」「左室肥大」「二尖弁」「大動脈径」「弁口面積(連続の式)」が挙げられています。

もちろん、単に大動脈弁が狭くなっている画像を覚えるだけでは不十分です。

ASでは何を見る?

まず確認したいのが、大動脈弁そのものです。

弁尖の肥厚や石灰化、開放制限などを確認し、二尖弁についても押さえておきましょう。

そしてASでは、連続波ドプラを使った血流速度の評価が重要です。

血流速度から簡易ベルヌーイの式を使って圧較差を求める計算は、超音波検査士の勉強をしていれば一度は目にすると思います。

ΔP=4V²

この式は使えるようにしておきましょう。

さらに、ASの評価では最高血流速度(Vmax)や平均圧較差だけでなく、大動脈弁口面積(AVA)も重要です。

AVAは連続の式を用いて求めます。

AVA=LVOT断面積 × LVOT-VTI ÷ AV-VTI

公式問題集でも計算問題を解く機会があると思いますが、数字を当てはめられるだけではなく、「なぜこの計算をしているのか」まで理解しておくと忘れにくくなります。

ASでは左室の変化も一緒に見る

大動脈弁が狭くなると、左室は高い圧をかけて血液を送り出さなければなりません。

そのため、ASでは大動脈弁だけを見るのではなく、圧負荷による左室肥大もセットで考えます。

「弁が狭い」という一点だけでなく、その異常によって心臓のどこに負荷がかかるのかまで考える癖をつけておくと、ほかの弁膜症も整理しやすくなります。

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大動脈弁閉鎖不全症(AR)は弁と大動脈を一緒に見る

ARは、拡張期に大動脈から左室へ血液が逆流する病態です。

研修ガイドラインでは、ARについて「弁形態」「重症度評価」「弁輪径」「大動脈径」が挙げられています。

ここで大事なのは、逆流ジェットだけを見て終わらないことです。

ARがあるときには大動脈弁そのものの異常だけでなく、大動脈基部や上行大動脈の拡大が関係していることもあります。そのため、弁輪径や大動脈径も確認します。

また、慢性的なARでは左室に容量負荷がかかるため、左室の拡大にも注目します。

ASが「圧負荷→左室肥大」なら、ARは「容量負荷→左室拡大」。

このように比較すると覚えやすいと思います。

重症度についても、カラードプラで逆流が見えるかどうかだけで判断するのではなく、複数の指標を組み合わせて評価することが基本です。

試験対策でも、ひとつの数値だけを丸暗記するのではなく、ARでは何を見て重症度を判断するのかを整理しておきましょう。

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僧帽弁狭窄症(MS)は弁口面積と圧較差を整理する

MSでは、僧帽弁が狭くなることで左房から左室へ血液が流れにくくなります。

研修ガイドラインには、「弁口面積」「弁下部病変」「圧較差」「もやもやエコー」「左房径」「左房内血栓」が挙げられています。

MSを勉強するときは、僧帽弁だけではなく、左房に何が起こるかまで一緒に考えるのがおすすめです。

左房から血液が出ていきにくくなるため左房圧が上昇し、左房拡大につながります。さらに血流のうっ滞によって、もやもやエコーや左房内血栓を認めることがあります。

そしてMSでは、弁口面積の評価も重要です。

断層像から弁口面積を直接トレースする方法に加えて、Pressure Half Time(PHT)を使った方法があります。

MVA=220÷PHT

公式問題集などで計算問題を解くときには、式だけを覚えるのではなく、「何の弁口面積を求めているのか」を意識しておきましょう。

また、MSが進行すると肺高血圧や右心系への負荷につながります。

ここも、「僧帽弁が狭い」で終わらせず、

MS → 左房圧上昇 → 肺循環への影響 → 右心負荷

とつなげて理解しておくと、肺高血圧や右心系の問題にも応用できます。

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僧帽弁閉鎖不全症(MR)は原因と弁の形態を意識する

MRは、収縮期に左室から左房へ血液が逆流する病態です。

研修ガイドラインでは、「リウマチ性」「僧帽弁逸脱」「腱索断裂」「機能性逆流」「重症度評価」「左房径」が挙げられています。

MRで特に意識したいのは、「逆流している」ことだけでなく、なぜ逆流しているのかを見ることです。

僧帽弁逸脱なのか、腱索断裂なのか。それとも左室拡大などに伴う機能性MRなのか。

断層像やカラードプラを見ながら、弁尖の動きと逆流の方向を結びつけて考えられるようにしておきたいところです。

慢性的なMRでは左房・左室に容量負荷がかかります。

そのため、MRでも逆流ジェットだけに目を奪われず、左房や左室がどうなっているかまで確認しましょう。

MRの重症度評価はひとつの指標だけで判断しない

MRの重症度評価には複数の方法があります。

カラードプラによる逆流ジェットの観察に加えて、vena contracta、PISA法、肺静脈血流など、さまざまな情報を組み合わせて評価します。

ここは勉強を始めたばかりだと「覚えることが多すぎる」と感じやすいところです。

まずは、MRの重症度は逆流ジェットの大きさだけで決めるものではないと理解したうえで、それぞれの評価法が何を見ているのかを整理していきましょう。

計算式についても同じです。

PISA法などを使った逆流量の計算はありますが、超音波検査士試験のために治療専門施設で行うような高度な評価をすべて暗記しようとすると、かなり勉強量が増えてしまいます。

まずは研修ガイドラインと公式問題集を基準にして、基本的な重症度評価を優先するのがおすすめです。

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三尖弁・肺動脈弁はどう勉強する?

AS・AR・MS・MRと比べると優先順位は下げてもよいと思いますが、三尖弁や肺動脈弁をまったく勉強しなくてよいわけではありません。

研修ガイドラインにも、三尖弁狭窄・三尖弁閉鎖不全について「右室圧推定」「重症度評価」「下大静脈径」が挙げられています。

特にTRは、肺高血圧や右心負荷を評価するときにも重要です。

TRの最高血流速度から右室-右房間の圧較差を求め、右房圧を加えて右室収縮期圧を推定する考え方は押さえておきましょう。

このあたりは肺高血圧や右心負荷と一緒に勉強したほうが理解しやすいため、別の記事で詳しくまとめる予定です。

一方、肺動脈弁については、特にPSが先天性心疾患と関係します。

肺動脈弁だけを独立して細かく覚えるより、先天性心疾患を勉強するときに右室流出路や肺動脈弁の異常と一緒に整理すると覚えやすいと思います。

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弁膜症の画像問題は「弁だけ」を見ない

私が超音波検査士を受験したときには、公式問題集で練習したような計算問題だけでなく、弁膜症に関する経食道心エコーの画像も出題されました。

ただし、私が受験したのは数年前です。現在も同じような形式・頻度で出題されるとは限らないので、「経食道エコーが必ず出る」と考えるのではなく、あくまで私の受験時の経験として参考にしてください。

一方、現在の研修ガイドラインにも経食道心エコー法は検査法のひとつとして含まれています。

そのため、経胸壁心エコーの典型像だけを覚えて終わるのではなく、弁の形態をいろいろな方向から見ても理解できるようにしておくことは大切だと思います。

以前、第40回の循環器領域の出題傾向をまとめたときにも感じましたが、循環器領域は単純な用語の暗記だけでは対応しにくく、画像や計測値から病態を考える力が必要です。

弁膜症の画像を見るときも、いきなり疾患名を当てようとするのではなく、

  1. どの弁を見ているのか
  2. 弁はどのように動いているのか
  3. 狭窄なのか逆流なのか
  4. ドプラでは何が起きているのか
  5. その結果、どの心腔に負荷がかかっているのか

という順番で考えてみてください。

たとえば左室肥大を伴う大動脈弁の開放制限があればASを考えますし、僧帽弁の形態異常と左房・左室拡大、収縮期の逆流を認めればMRの病態を考えます。

「画像を覚える」のではなく、「画像から病態を説明できる」状態を目指すのがおすすめです。

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3D心エコーや弁膜症治療まで覚える必要はある?

最近の弁膜症診療では、経食道心エコーや3D心エコーが使われる機会も増えています。また、TAVIなどのカテーテル治療を耳にする機会も多くなりました。

「超音波検査士試験でも、そこまで勉強したほうがいいの?」と不安になる人もいるかもしれません。

日本超音波医学会の「成人心臓弁膜症の心エコー図診断」でも、心エコー法が断層法や各種ドプラ法だけでなく、三次元エコー法や経食道心エコー法へ発展してきたことが示されています。

ただし、現在の超音波検査士研修ガイドラインを見る限り、TAVIなどの治療に必要となる専門的な術前計測までが、弁膜症の学習項目として細かく列挙されているわけではありません。

そのため、試験対策としてはまず、

弁の形態・血行動態・重症度評価・心腔への影響

を優先して勉強するのがよいと思います。

今後、試験内容が変化していく可能性はあります。私自身の受験時の感覚だけで「ここまでやれば絶対大丈夫」とは言い切れないため、受験する年には必ず最新の研修ガイドラインや日本超音波医学会の案内も確認してください。

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弁膜症は「何を覚えるか」の優先順位をつけよう

弁膜症は、勉強しようと思えばいくらでも深く勉強できる分野です。

試験勉強の段階で細かい治療適応や専門的な計測まですべて覚えようとすると、ほかの頻出分野に使う時間がなくなってしまいます。

まずは次のように優先順位をつけてみてください。

最優先

AS・AR・MS・MRについて、基本病態、特徴的な心エコー所見、重症度評価、心腔への影響を説明できるようにする。

ASの圧較差やAVA、MSの弁口面積など、公式問題集や研修ガイドラインで扱われる基本的な計算方法も確認する。

次に押さえたい

弁の形態異常や原因を画像と結びつける。

特に二尖弁、僧帽弁逸脱、腱索断裂、機能性MRなどは、名前だけでなく「エコーでどう見えるのか」まで確認する。

余裕が出てきたら

経食道心エコーで見た弁の形態や、より詳しい重症度評価についても確認する。

TRは肺高血圧・右心負荷、PSは先天性心疾患と関連づけて勉強すると効率的です。

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まとめ|弁膜症は病態をつなげて覚えよう

超音波検査士試験の弁膜症対策では、すべての疾患や計測方法を片っ端から暗記する必要はありません。

まずはAS・AR・MS・MRを中心に、

弁の形態 → 血流の変化 → 重症度 → 心腔への影響

という流れをつなげて理解していきましょう。

計算問題も、公式問題集に出てくる問題を実際に解きながら、何を求めている式なのかまで理解しておくと応用しやすくなります。

そして、弁膜症だけに時間をかけすぎないことも大切です。

循環器領域では、弁膜症以外にも先天性心疾患、心筋症、肺高血圧・右心負荷など押さえておきたい分野があります。

「循環器、範囲が広すぎて何からやればいいの?」という方は、まず**「認定超音波検査士|循環器領域の攻略法」**で全体の優先順位を確認してから、それぞれの分野を勉強してみてください。

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